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道州制Cafe塾

第14回Cafe塾

京都大学名誉教授 今本博健氏 (河川工学)「関西州における治水行政の視点」

 

講師:京都大学名誉教授 今本博健氏 (河川工学)
   < http://imamoto.jimdo.com/ >

日時:平成23年 2月12日 (土曜) pm1:30-15:00

場所:大阪府ドーンセンター(天満橋)5階セミナー室

第14回カフェ塾 報告

講演風景 今回のカフェ塾は、琵琶湖をいただく関西圏において治水・利水の現状と今後の課題について、河川工学の権威であり、行政を含めた広い見地から「ダムによらない治水」を提唱されている京都大学名誉教授の今本博健先生にお話を伺いました。

防災や治水という問題は自然が相手であるため、効果的対策といってもおのずと限界があります。最近でこそ「環境評価」を含む事前評価の重要性がいわれていますが、ある治水工事に成功したとしてもその成功が新たな環境負荷となり、別の災害の原因になる可能性もあるからです。われわれの科学技術というものが、世界や自然の対象を選択的に切り取ったところで成り立っているからでしょう。

また防災や治水は行政区分によって都合よく対策できるものではなく、そのため国や関連自治体が当初より広域的に対処してきたものですが、均衡ある国土開発ともに、とりわけ国の権限が大きい分野でした。しかし、逆に権限の大きさゆえに、その政策に誤りがあれば、マイナスの影響はとても大きいものになります。それゆえ、為政者は政策の評価に対して謙虚である必要があります。しかし「いったん始めたもの、予算の付いたものを元に戻すことは困難」というのが実態でしょう。

「なぜ、ダムによる治水がいけないのか」―そもそも日本の治水政策は、一定規模の洪水を河川に封じ込める「定量治水」といわれるものです。しかしこの考えでは、大きく次のような難点がありました。

      1. 対象を超える洪水には対応できない
      2. 治水目標になかなか到達しない
      3. さらに環境対応もできない

ダム治水の限界もここから来ます。ダムでは、1) 治水機能が限定的で、2) その効果も不確実です。また 3) 堆砂による治水機能の劣化を招き、300年後にはすべてのダムを埋めてしまうことになります。さらに 4) ダム建設によって、地域社会や自然環境を破壊するだけでなく、すでに 5) 建設残適地が少なくなってきており、条件的にもダム時代の終焉が近づいているのです。ダムによる治水がうまくいっていないのは、900基近くのダムがありながら、定量治水の方針下で水害を防いだ例がほとんどないというのも衝撃的です。

小倉塾長の質問そこで今本先生が提唱されているのが、「非定量治水」です。これは限定的洪水だけでなく、あらゆる洪水を対象に防災の観点を強化することと、堤防を中心に流域全体で洪水を受け止めるという減災の考え方で成り立っています。防災には科学的予見、工学的対応、行政組織による長期的フォロー、財政的支援、そして地域住民による情報の共有化と協力体制の構築が必要です。自然を相手にしたものには、われわれ一人ひとりが謙虚でありたいものです。 

講演 レジメ(いま、治水の 何が問われているか) … レジュメ PDF