『参議院選挙を終えて』
2010年7月10日
問題は消費税にあらず
政権政党である民主党に批判票が集まるのは、ある意味仕方がないことである。しかしその批判が消費税議論の不用意な開始にあると考えているとしたら民主党はわかっていないと思える。議席が減ったのは中間部分の無党派層がみんなの党と自民党に向かったからである。消費税については、両党の主張が離れていることからしても、問題は消費税ではない。
民主党比例の当選者を見れば明らかなように、この党の労組依存は際立っている。労組は資本・経営側があってはじめて力を発揮する。上位者のいない労組が経営者と同じ心構えを持つまでには時間がかかるだろう。現在問題なのは、民間企業においてもサラリーマン経営者がダメなようにリスクテイクする人材がいないことである。民主党に無責任さを感じるのもこの部分である。
もちろんリベラルな労組であるから「責任を感じないいい政策」はしたいと思っている。しかしできないだろう。マニフェストは見識のないスローガン集の趣である。だから大幅に変更せざるを得ない。
議会運営においても労組体質が出ている。議論が重要なのではなく、反論を封殺しながら手続きさえ踏めばよく、強引に執行部提案の原案を通すことが重要になっているように見える。
地域主権についても供給サイドにあり、中央委員会制度を持つ労組が地方分権や公務員改革を実行できるとは思えない。地域主権大綱が骨抜きであるといわれるゆえんである。
少し厳しすぎるかもしれないけれど、日本国がおかれている現状はそれ以上に厳しい。あまり時間がないので是非改善していってほしいところである。
「第三の道」 ー 民主党の戦略
社会保障を増税と成長戦略に組み込むことの意味
菅政権の「第3の道」について少し述べたい。
- 増税の意味
○消費税を含む間接税から直接税へのシフト
○民間市場における投資先の選定の問題 (端的にいえば投資していない)
○民間消費市場から資金を吸い上げ、財政健全化に役立てる - 社会保障の充実に充てることの意味
○高齢化の中で社会保障費の毎年1兆円の自然増
○政策的な一定分野への集中投資
○制度変更による充実化経費(官から民を、民から官に転換) - 経済社会への還元の意味
○社会保障分野での雇用増・一人当たり人件費増
○消費を増ふやす。この問題は何をどの程度消費するかだ。サービスの購入(生産性の低い国内供給)と物財の購入(低価格輸入品からの供給)では、達行かない。
○輸出や海外展開と無関係な成長戦略では、やがて、貿易収支が赤字になる - インフレ時代の到来? 財務省主導の新手のインフレ・ターゲット手法?
○貿易収支の赤字によって、円安になる
○日銀に対する影響力が出てくる。マネーサプライの増加
○国債の金利は上昇するが、未達や不人気による金利上昇ではなく、マネーサプライの増加したものである。
○マネーサプライの増加は政府が抱える長期債務額を実質的に縮小させる
○金利上昇分と実質減額分の調整は産業振興による成長によって、どの程度税収が増えるか、さらに国債利回りを上回るリスク資金の運用先を市場が提供できるかにかかっている。
よって、この第三の社会保障を充実させて成長させる戦略は、成長の条件整備にはなりえても戦略にはなりえない。財政健全化のための新手の手法である。
民間市場から消費税によって100万吸い上げたものを、政府を通じて雇用に100万投じたとしても、将来不安なく100万を消費すれば民間市場の所得が100万増えるので、フローの活性化は図れるかもしれない。しかし、新規雇用者が貯蓄を10万すれば所得は90万しか増えない。これが効果を発揮するには、未来の成長が貨幣のフローではなく財のフローとなるような付加価値生産を見込めると国民が思えたときである。これは医療介護の量的拡大からは展望できない。質的転換・ある種の輸出事業にならなければ不可能である。つまり所得が110万以上増えたときである。
また、一般に企業の内部留保金は増加している。この問題は次のように整理できる。輸出と人件費のカットで経常益が増えただけでなく、この間借入金の返済に躍起になって三つの過剰を減らしてきた。しかし一方でこの10年企業が新規投資のためにほとんど借り入れを行っていない。ある意味でこれは企業のタンス預金が増えている状況である。まったくリスクをとっていない。
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